人はいつも元気ではありません。仕事のミスや失恋、家庭問題などほんの些細なことで落ち込んだり、傷ついたりしています。<br><br>
しかし、たいていの場合、人は数日もすると回復して、また「がんばろう」と思えることができます。ところが、いつまでも気持ちが沈んだままで元気になれないことがあります。この状態が2週間も続けば「うつ病」なのです。
うつ病は辛い病気であることは事実ですが、この辛い気持ちが回りの人には理解されないことが多いようです。この理解されないことも、うつ病をもっと悪くしてしまっています。<br><br>
うつ病の人が経験する暗い気持ちには、光が差すことがありません。夜は永遠に続くのです。励ましやなぐさめは空々しく感じられ、逆に絶望感を募らせるばかりです。うつ病の悲しみはふつうとは質の違うものです。うつ病になると回りの理解も得られにくいので孤独感にも苛まれます。<br><br>
しかし、うつ病は病気です。きちんと治療すれば治る病気ですので、自分が「うつ病かな」と思ったら精神科のお医者さんに診てもらいましょう。

うつ病でやる気が出ないなどの状態が続いているのは、あなたのこころが弱いからでも、甘えているわけでもありません。ストレスなどによって、セロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなり、それによってうつ病が起こるといわれています。決して気の持ちようとか性格によるものではありません。<br><br>
セロトニンとノルアドレナリンは脳の中で、意欲や活力などを伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂うつ感などを引き起こしてうつ病の症状があらわれるようになります。そのため、治療でこの脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することで、うつ病を改善できるのです。<br><br>
うつ病は、単なる気持ちのもちようだとかの問題ではありません。自分にとって大切なものを失ったとき、職場での人間関係や夫婦間・親子間の問題などが悪化したとき、ストレスや慢性的な疲労がたまり身体のバランスを崩したときなどからうつ病が発症します。特に、几帳面でまじめな性格の人は、うつ病になりやすいと言われています。<br><br>
このように、うつ病は、さまざまな要因が単独あるいは重なり合い、脳内の情報伝達で重要な役割を担う神経伝達物質(セロトニンやノルアドレナリンなど)のバランスが崩れることによって引き起こされると考えられています。

何をするのも億劫、何も面白いとは思わないなど意欲・興味の減退が一番大きな症状でしょう。それから、憂うつ気分・悲哀感や自信がなくなるなど心が弱くなります。身体的には睡眠障害がとても多いようです。<br><br>
気力が低下して何をする気もおきなくなりますし、洋服を着るといった日常的なことにさえ時間がかかるようになります。何とかしなくてはならないと気持ちだけは焦るのですが、それをするだけのエネルギーがわいてこないのです。<br><br>
また、うつ病になると、気持ちが沈み込んでつらくてたまらないために死んだ方がましだと考えるようになってきます。欧米の研究では、入院が必要なほどのうつ病にかかった人の15パーセントが自殺で命を落としていることがわかっています。

うつ病はほとんどの方が専門医の治療で完治しています。うつ病でも自分で抱え込んでしまっていてはいけません。必ず医師の診察を受けてください、うつ病は治る病気なのです。<br><br>
うつ病の治療は休養とくすりによる治療です。まず十分な休養をとることが大切です。あなたが抱えている仕事や家事などは少しの間休んで、疲れたこころとからだを十分に休めてあげましょう。それと併行して、くすりによる治療で脳内神経伝達物質のバランスの乱れを調整します。<br><br>
うつ病の治療には、主に「抗うつ薬」という種類のくすりが使用されます。抗うつ薬は、うつ病で生じる脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することによって、うつ病の症状を改善します。そのため、抗うつ薬を服用すると憂うつな気分や不安感などが改善されますが、それは決してくすりによって性格が変わったりするわけではありません。<br><br>
また、抗うつ薬は、熱を下げるくすりのように即効性のあるくすりではなく、2~4週間のうちに徐々に効いてきます。したがって、服用を始めてすぐに効果が出ないからといって不安になる必要もありません。その効果があらわれる速度はゆっくりかもしれませんが、抗うつ薬は確実に脳内の神経伝達物質のバランスの乱れを調整しながらうつ病を改善していきます。<br><br>
周囲の人にできる一番のサポートは、うつ病が単に心の問題ではなく、治療が必要な病気であることを理解することです。<br><br>
周囲の人が注意することは、"頑張りたくても頑張れない"うつ病患者さんにとって、「頑張って」などという励ましの言葉は逆効果です。<br><br>
「仕事を辞めるかどうか」というような、重要な決定は先のばしにさせましょう。また、家事などの日常生活上の負担を減らしてあげましょう。

うつ病の治療は、休養、薬物療法、精神療法の3本柱からなっています。うつ状態にはいろいろな症状や病気の原因があり、軽度なものから重度までさまざまです。また、それを引き起こす原因も複雑にからみあっています。そのため、これらの要素を考えながら治療を行います。<br><br>
うつ病の治療で一番大切なことは、焦らずゆっくり休むことです。家族や職場など周囲の人は、うつ病を理解することが不可欠です。患者を気づかうことは大切ですが、「頑張れ」と励ますことや「重大な判断」を求めることは、かえってマイナスになるので気をつけましょう。<br><br>
薬物療法では、主に抗うつ薬と呼ばれる薬が使われます。抗うつ薬にはさまざまなものがありますが、最近はSSRIやSNRIなど、従来の抗うつ薬で問題となっている副作用が少ない薬も登場しています。<br><br>
薬物療法により、うつ病の症状が軽くなったからといって、自分の判断で服薬を中止すると、症状が逆戻りしてしまうため、医師の指示によりきちんと服薬を続けることが大切です。

うつ病での入院は、医師から進められる場合もありますが、自分から進んで入院することもできます。<br><br>
うつ病になるような方は、責任感が強かったりしますので、家にいてもいろいろなことが気になって身体や心を休められないことが多いです。<br><br>
また、自宅療養していると、周囲から遊んでいるように見られるのも辛いですね。うつ病はなかなか周囲から理解されない病気ですから、入院してしまったほうが気も休まりますし、治るのも早いようです。

うつ病で病院に入院するといろいろなメリットがあります。まず、心と身体の休養に専念できます。仕事、家事などしないのですから、それに関わる悩みもなくなります。<br><br>
入院すると携帯電話はもとよりノートパソコンなども没収されてしまいますので、やることが何もなくなります。テレビを観るか他の患者さんと話をするくらいです。毎日ヒマです。この「ヒマ」がうつ病にはとっても良いのです。<br><br>
また、面会は原則として家族だけですから、対人関係の煩わしさからも開放されます。うつ病ではやはり人とのコミュニケーションをしないで済むというのは、心にとって非常に楽になります。<br><br>
うつ病の通院治療でなかなか回復しない場合には、思い切って入院して見ましょう。「生活環境」が大きく変わりますから、何か開けると思います。

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